インドネシアって意外に英語が話せる人が多いかも?日本に帰国するとこのように思うことが多々あります。
日本では訪日インバウンド市場が拡大していく中、東京、大阪、京都、福岡は多くの外国人で賑わっています。
そのような外国人が多い都会では外国人に英語で道を尋ねられた日本人があたふたするシーンを見かけます。
懸命に道案内をしようと、なんとか目的地にたどり着いてもらおうと説明をしていました。そんな日本の何気ない光景を見てふとインドネシアを思い出した時に、日本と比べると英語に接するシーンが多い。
ビジネスシーンだけでなく、カフェやレストランでもインドネシア人が流暢に英語を話している印象を受けます。
これからインドネシアに旅行や駐在に行く方。
- インドネシアって何語が使われているの?
- インドネシアでは英語は通じるの?
- 語学面でインドネシアでの生活が不安
とお悩みのあなた。このページでは現地でインドネシア人と仕事をする私が、インドネシアで話されている母国語のインドネシア語や、インドネシアで旅行や生活をする上で知っておきたい英語事情について解説していきます。
記事の目次
インドネシアで使われている言語とは?
インドネシアは13,000以上もの島からなる島嶼国。ジャワ人、スマトラ人、バリ人など、300以上の民族からなる多民族国家です。そのため、それぞれの民族の言語が存在します。
そんなインドネシアではインドネシア語が公用語となっており、学校教育やテレビ放送ではインドネシア全土でインドネシア語が使われています。
独立前後に、「インドネシアは多民族が共存する。どの民族が支配してもいけない。どの民族の言語(地方語)も国語になってはならない。ある民族の言語が国語になれば、その民族が国を支配するからである。」
という政治思想の下、交易語であったマレー語の一方言をインドネシア語として定めました。
ジャカルタやバリで使われている単語が、実はジャワ語やバリ語だったと後から知ったという経験をしたことがある方もいるほど。
例えるならば、「なんくるないさ」が標準語だと思っていたら、実は沖縄の方言だったと後から知るようなものです。
そんな多民族国家のインドネシアですが、今では2億6000万人を抱える東南アジアを代表する経済国に成長中。
2030年には世界第5位のGDPを誇ると言われるほど今後の市場期待値が高い国といわれています。そんな世界の中で頭角をめきめきと現わそうとしているインドネシア。
今後この国の発展がさらに加速できるように国民の教育レベルは勿論、世界とも戦うべく国際間でのさらなる調和を目指し、国民の言語のレベルアップに拍車がかかっているような感覚を覚えます。
その一つがインドネシア人の英語力。
インドネシアに来てからは仕事の関係で、多くのインドネシア人と仕事をする機会があります。商談やディスカッションの中でどうしてもインドネシア語が分からない。
そのような場合に英語で話すと円滑にコミュニケーションがとることができ、私のインドネシア語の不勉強も昂じて、意外と英語でのやりとりが中心になることが多い傾向にあります。
日本ではまずこのレベルの英語を話せる人にそうはお会いしません。
日本よりもはるかに英語が話せるインドネシアの人々の英語力とはどのようなレベルで、どのような教育を受けているのでしょうか?インドネシア人の英語教育のベースに焦点をあてて見ていきます。
日本は大丈夫だろうか。世界の共通語は東南アジアでもどんどん浸透中
インドネシアは義務教育が小中9年、その後は高校3年、大学4年と日本と同じ教育制度。小学校1年生から英語教育が必須となっているため、英語には力を入れていることが伺えます。
そのため、個人の得手不得手はありますが、大学を卒業したインドネシア人は、英語の会話は比較的スムーズに行うことができます。
またインドネシア語にアルファベットが使われている点、学術用語などの外来語が英語と酷似している点はインドネシア人の英語学習において有利に働くでしょう。
経済 | Economy(英語) | Ekonomi(インドネシア語) |
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政治 | Politics(英語) | Politik(インドネシア語) |
祭り | Festival(英語) | Festival(インドネシア語) |
これらはほんの一部にすぎませんが、インドネシア語には他の単語でも英語に類似する単語は多く存在しており、このようなことからも日本語と比べて英語との親和性が高い言語と言えます。
普段インドネシア語を母国語とするインドネシア人からすると、英語は親しみやすいのかもしれません。
では実際インドネシア人の英語力がどの程度のものなのか、IELTSという英語能力試験で用いられているポイントを基に日本人とインドネシア人の英語力を比較してみましょう。
比較①~IELTS~
ドイツ | 1位 7.37 |
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ギリシャ | 2位 6.97 |
マレーシア | 3位 6.89 |
インドネシア | 18位 6.38 |
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日本 | 33位 5.81 |
IELTSとは、リーディング以外にもスピーキングやライティングのセクションがある実践的な英語力を問う試験。
主にイギリス、オーストラリア、ニュージーランドの大学に留学する際に用いられる英語能力試験で、大学入学の目安は6.0以上、大学院は6.5以上といわれています。
インドネシアは距離の近いオーストラリアに留学する人が多く、総じて点数も高くなると考えられます。
なお、日本ではアメリカやカナダの留学で必要となるTOEFLの方が主流ですが、世界では年間約250万人が受験するIELTSの方が主流であり、受験人口もIELTSの方がはるかに上回るといわれています。
比較②~TOEIC~
カナダ | 1位 845 |
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ドイツ | 2位 800 |
ベルギー | 3位 772 |
日本 | 39位 517 |
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インドネシア | 47位 447 |
TOEICは言わずと知れた英語能力試験。日本では就職や昇進試験でTOEICが広く使われるようになりました。
インドネシア人のスコアはIELTSでは日本を大きく突き放したものの、TOEICは日本人の方が平均点を上回っています。
インドネシア人受験者の61%は20歳以下である点がインドネシアの点数が低い要因として考えられます。
また、日本人の平均点数がインドネシア人のそれを上回った理由は、日本人が苦手とされるスピーキングがない点が考えられます。
比較③~TOEFL~
TOEFLは海外の大学進学で世界的に使われる英語能力試験。英語の実力がそのまま反映されるテストの代表格とされています。
TOEFLの場合、インドネシア人のスコアは120点満点中85点。日本は71点とインドネシア人と比べて10点以上の大きな差があります。
単純比較はできませんが、イギリスが96点なので、イギリス-インドネシア:インドネシア-日本の差は同じぐらいと考えることもできるでしょう。
実際のところは、インドネシア人も日本人も英語力はピンきりです。Warung(屋台)の人は英語を喋れませんし、運転手やメイドさんで英語を喋る人も多くありません。
しかし、日イの大学生で比較すると、インドネシア人の方が総じて英語力が高い印象を抱きます。
ビジネス・私生活でのEnglish Level
ビジネスシーンでのインドネシア人の英語レベル
インドネシアの日系企業では、社内共通語は日本語、インドネシア語、英語のいずれかです。主要なクライアントが日系の会社の企業では日本語、インドネシアの会社ならインドネシア語、製造業や世界規模で事業展開している企業は英語を使っているなど、企業によって様々。
しかし、日系企業に勤めるインドネシア人スタッフは、ある程度の英語力を身につけているといえるでしょう。赴任当初は英語での会話となる方が多いので、英語は身につけておきたいところです。
私生活でのインドネシア人の英語レベル
インドネシアで買い物やレストランに食事をするときは、食事のジャンルやレストランのランクによって、ウェイター/ウェイトレスの英語力が異なります。
例えば日本人が経営している日本食レストランや居酒屋では日本語が使えるので、困ることはありません。「〇〇、1つ」や「大盛」「水割りセット」など、特に難しい言葉でなければ日本語が普通に使えます。
また、少し洒落たインドネシア料理のレストランでは英語が通じます。偶然日本通のスタッフがいることもありますが、日本語が通じることはほぼゼロと認識していただいてよいでしょう。
私の経験則として、カフェで働く大学生のバイトらしきスタッフは英語を流暢に話します。
パダン料理などを提供するローカル感が溢れるインドネシア料理のお店やスーパーでは、インドネシア語しか通じないスタッフを多く見かけます。
オーダーレベルの英語を喋るスタッフが数人いることがありますが、あまり期待はできません。インドネシアに住んでいる限り、インドネシア語を勉強して損はありませんが、簡単なインドネシア語と英語を使いこなせれば、生活で困ることはあまりありません。
話せるようになった時のメリット
インドネシアの生活において、英語が喋れるメリットは日本の生活とは比べ物になりません。日本の生活では、平日の会社-自宅の往復、お子さんの幼稚園や習い事の送迎、または休日に出掛ける場合、英語を話す機会は滅多にありません。
一方インドネシアでは、業務で英語を使用する機会が格段に増えるでしょう。取引先とのゴルフ等のスポーツ、またはキャディさんとの会話ができれば、良好な関係が築けることになることは間違いありません。
また、お子さんがインターの幼稚園や学校に通っている場合、保護者同士の会話はもちろん英語。日本語レベルまで喋れる必要はなくとも、仲良くできる関係を築けることができれば、お子さんにもプラスに働くかも知れません。
言葉の制限がなければ、日頃の生活のちょっとしたストレスが格段に減ることでしょう。
このようにインドネシアでの生活でも英語が話せることで得られるメリットが多いことが分かります。またインドネシアを離れて日本に帰国をしても、はたまた他の国へ移住するにしても、英語を話すことが求められている時代。
グローバル化が進む世の中で特に、今後日本が世界と戦う中で英語を操る能力は重宝されます。
今話せるようになっておくためには
ひと昔前までは駅前NOVAやECC英会話と英語力アップに特化したスクールが注目を集めました。今はデジタル時代に突入。
あなた自らがスクールに足繁く通うのではなく、自宅、出張先、旅行先とパソコンが手元にあればオンラインで英語習得ができる時代になりました。
これからインドネシアに行く人、インドネシアで仕事、生活をしていて英語の必要性を感じる人、今後英語を勉強したい人は、オンライン英会話等で勉強することをオススメします。
インドネシアの英語事情のまとめ
旅行でインドネシアを訪れる時の不自由さは旅行期間だけですが、インドネシアに赴任になった方はできれば英語を習得したいもの。
今後、別の国に駐在になる可能性もあるため、英語を身につけるのは早いことに越したことはありません。
仕事や家事などで忙しい方も、週に1~2日なら時間を割くことができる方も、お子さんの手が離れて育児が一段落した方も、外国にいることが英語学習のモチベーションに繋がるのではないでしょうか。
オンラインで学ぶのも良し、教室に通うのも良し。是非インドネシアで改めて英語を勉強してみてはいかがでしょうか。