インドネシアの有名な観光地バリ島。インドネシアについて知らなくてもバリなら聞き覚えがあるという方は多くいます。そんなインドネシアに訪れたら絶対に外せないのがケチャダンスの観賞。
土着信仰とも繋がりのあるケチャダンスは、観光でバリに訪れたら絶対に鑑賞したい舞踏劇です。
- そもそもケチャって何?
- ケチャ観賞時に注目すべきポイントは?
- ケチャのリズムに集中しすぎると危険って本当?
など、ケチャについて十分知らない方も多いのではないでしょうか。また、ケチャを実際に行うとトランス状態に陥るともいわれます。
ここでは、謎の多いケチャについて紹介します。ケチャをより楽しむべく、是非参考にしてください。
ケチャダンスとは?歴史は土着の信仰儀礼にあり!
ケチャダンスとは一体どのようなものなのでしょうか?それはバリ独自の信仰儀式『サンヒャン・ドゥダリ』に由来しています。そもそもバリには独自の文化が存在しており、9割以上の人々は土着信仰とインド仏教やヒンドゥー教が混ざった信仰体系にしたがった生活を営んでいます。
その信仰儀式の中でも流行病や凶作を追い払うための儀式が『サンヒャン・ドゥダリ』と言われています。この儀式では伝統楽器のガムランを使わず、代わりに男女が声のみで祈りや呪文を唱えます。
現在のケチャは、そのサンヒャン・ドゥダリの儀式で行われた声だけ伴奏を起源に持ち、観光向けに変化したもの。ウルワツ寺院で行われるケチャは、50人以上の男性の声のみで「チャ」という音だけで繰り広げられるます。
ケチャで重要なのは呼吸を合わせること。トランス状態に陥ってしまうといわれる所以は、長時間呼吸を合わせることで過呼吸に近い状態になってしまうからと考えられています。
それでは、ケチャのリズムがどのように構成されているか深掘りしてみましょう。
ケチャのリズムは四重奏!?
ケチャは以下の役割を持つ最低6人が必要です。
A:『ダンブール』基本的なリズムを刻む。メトロノームのような役割。
B:『チャッ・トゥル』4拍中に「チャッ、チャッ、チャッ」を2回繰り返して刻む。
C:『チャッ・リマ』4拍中に「チャッ」を5回刻む。
D1:『チャッ・ヌム』4拍中に「チャッ」を6回刻む。
D2:『チャッ・ヌム』4拍中に「チャッ」を6回をD1の半拍遅れで刻む。
E:『チャッ・ピトゥ』4拍中に「チャッ」を7回刻む。
ケチャを観賞する際、もし近くに座れたら、1人の男性がどの拍節で発生しているか見てみてはいかがでしょうか。
タイミングを見計らってリズムがリセットされるため、口の動きや肩の動きだけでは追うのは至難の業ですが、一歩踏み込んだ楽しみ方ができることでしょう。
上記図の通り、ケチャは「チャ」の音で拍を埋めることが重要。強弱のある「チャッチャッチャッ」が連続して聞こえているだけですが、強弱は各パートのリズムの重なりが生み出しています。
なお、このリズムは譜面で残されている訳ではなく、口頭伝承によるもの。古くから伝わる文化・宗教的背景を感じ取ることができます。
ケチャ冒頭の20分動画
ケチャの公演は約1時間。冒頭にケチャダンスがあり、次にヒンドゥー教の叙事詩ラーマヤナのストーリーの舞踏劇が始まります。
ストーリーの概要は王子の妻が誘拐され、白い猿が奪還するというもの。ケチャのリズムが流れる中、ケチャの音楽とストーリー性を楽しめる大満足間違いなしの60分を過ごすことができます。
それでは百問は一見にしかず。冒頭20分の動画をお楽しみください。ラーマヤナのストーリーは実際に行ってお楽しみください。
なお、ご視聴の際はケチャダンサーと呼吸を合わせず、凝視しすぎないでください。ひょっとしたらトランス状態になってしまうかも…!?
ケチャを楽しむならウルワツ寺院へ!
ケチャを楽しむなら、目の前には水平線が広がっているウルワツ寺院に限ります。
ケチャの公演が始まる前に崖にそびえるウルワツ寺院で記念撮影。ケチャダンスもウルワツ寺院の向こうに沈む夕日を見ながら楽しむことができます。
17時頃からチケットの販売が開始され、公演開始は18時。開始直前になると満席になることがほとんど。遠くに座るか地べたに座ることになるので、早めに行ってウルワツ寺院が望める中央の3段目辺りに座るのがベスト。
演劇の登場人物である愉快な白い猿ハノマンとの絡みも期待できるかも知れません。
バトゥブラン(Batubulan)のSAHADEWAでもケチャダンスの公演が行われていますが、短期間の観光で観賞するなら景色や夕日も楽しめるウルワツ寺院をおすすめします。
老若男女問わず楽しめるケチャ。バリに訪れたら絶対に行きたいスポットの代表格です。是非生のケチャをお楽しみください。