インドネシアの人口の9割を占めるイスラム教徒。世界最大のイスラム教徒を有する国はインドネシアです。そんなイスラム教徒の人々が食べるものには、ハラル認証が必要とされています。
インドネシアでもハラル認証のお店は多くあり、インドネシアの人々はハラル認証を受けている飲食店や食品を好みます。
- そもそもハラルって何?
- ハラル認証って絶対必要なの?
- ハラル認証について詳しく知りたい/li>
と思っている方は是非ご覧ください。インドネシアでのハラル認証について詳しく紹介しています。
記事の目次
そもそもハラルとは?
イスラム教徒が豚肉やお酒を口にしないことは多くの方がご存知なのではないでしょうか。そもそもハラルとはイスラム教の教えで「許されている」という意味の言葉。
豚肉を使用している商品(食品や化粧品などを含む)の服用禁止、アルコール摂取の禁止以外にも、ハラルにはさまざまなルールがあります。
たとえ牛肉や鶏肉でも、シャリーア法に定められた方法で殺されていないものは非ハラル。鋭い牙を持つトラ、不快さを連想される蚊やノミも実は非ハラルです。
しかし、1つ1つがハラルか非ハラルかは、消費者には分かりません。そこで、ハラル商品に対しては、ハラル認証が付与され、人々はハラル認証の取得できている商品を摂取します。
さて、そんなハラルに関する知っておきたい言葉が『Halalanthoyyiban(halalan toyyiban)』。「Halal(合法的)」と「Thoyyib(健全な)」という単語の組み合わせです。
そのため、「安心・清潔・栄養豊富・良品質」という「Thoyyib(健全な)」の観点もイスラム教徒には必要。たとえ鶏肉でもシャリーア法に則って殺されていない鶏肉はハラル商品ではありません。また、礼拝前のお清めは「Thoyyib(健全な)」に関わります。
その他、イスラム教にはさまざまなルールがあり、インドネシアで販売されている商品がハラルであるという証明のためにハラル認証が存在します。
ハラル認証されていない食品は食べないの?
インドネシアでは、ハラル認証を受けた食品や飲食店には写真のようなハラル認証マークが付与されます。イスラム教徒の人々は、このハラル認証があれば「合法的」で「健全な」食品であると認識します。
例えば、豚骨ラーメンを提供している日系ラーメン店にはハラル認証は付与されていませんが、鶏白湯ラーメンを提供している日系ラーメン店はハラル認証を受けています。
また、ハラル認証を受けていないラーメン店でも、イスラム教徒に配慮し、豚を扱う食器とそれ以外の食器を区別するなど、イスラム教徒への配慮があります。
インドネシアはイスラム人口が世界一の国ですが、マレーシアなどと違い、イスラム教を国教としている訳ではありません。
そのため、ハラルと非ハラルの棲み分けがきちんとできておらず、インドネシアの人々もハラル認証の商品というより、豚を使っていなければハラル認証を取っていない鶏肉も平気で食べます。
しかし、最近ではハラル認証への意識が芽生え、ハラル認証を取っている日系の飲食店(丸亀うどんなど)はインドネシア人にも印象が良く、在留邦人のみならず多くのインドネシア人で賑わっています。
問題となった醤油!
2017年8月頃、イスラム教を国教としているUAEで、日本工場で作られたキッコーマンの醤油の輸入禁止措置を取りました。醤油には小麦の発酵過程や白カビ防止のためにアルコールを用いています。
シンガポールの工場ではアルコールを含まない醤油を製造しており、中東やインドネシアを含む東南アジア諸国では主にノンアルコールの醤油が販売されているのですが、UAE当局が発表した「日本工場で作られた醤油の輸入禁止」が「醤油にはアルコールが含まれている」と伝わり、誤解を招いてしまいました。
※現在、キッコーマンはインドネシアなどのイスラム教徒の多い国ではハラル認証を受けた醤油も製造・販売しております。
また、2014年に、インドネシア人がこよなく愛する味の素が、ハラル認証を取得しているにも関わらず、豚肉の成分が含まれていたとして製造工場担当の日本人役員ら6人が逮捕されました。
実際は豚の成分は使っておらず、発酵菌を作る過程で触媒として豚の酵素が使われていただけと判明したため、触媒を変更することで事態は収束しました。
その際、当時の大統領が公の場で味の素を食べて安全性をPRするなど、政府や国民を巻き込んだ大騒動に発展この出来事はインドネシア人のハラル食品に関する意識を象徴する出来事でした。
こんなものにまでハラル認証!?
2018年5月、シャープが冷蔵庫及びフリーザーのハラル認証を取得したと発表。インドネシアで生産される製品の部品や製造工程でハラル規定に則った管理を徹底し、ハラル認証協会の監査を受け、認められました。
食品が直接触れる冷蔵庫を始めとする家電製品にもハラル認証が付与されたことで、インドネシアのイスラム教徒の人々もより安心できることでしょう。
また、化粧品には乳化剤や防腐効果としてアルコール成分が使われています。
インドネシアなどのイスラム圏は巨大なマーケット。ヨーロッパの化粧品メーカーは既にハラル認証を受けた化粧品の製造・販売に力を入れています。
2019年10月にハラル認証制度が改定に!?
イスラム大国インドネシアで働く、生活する上でハラルは切っても切り離せないもので、企業での仕事やその環境に大きく影響します。
2019年10月末にハラル法が施行される予定で、内容はインドネシア全土のハラル対象店舗(食品関係、化粧品関係など)はハラル認証の取得が義務付けられます。
また、外国からの食品・化粧品・化学品などについてもインドネシアのハラル認証がないと輸入できない規制が出てくる可能性も。
インドネシア全土でハラル認証取得が加速するという専門家もおり、外資系企業にとってもハラル対応の必要性は今後より一層増すことでしょう。
ハラル認証についてのまとめ
2050年に世界のイスラム教徒は27億人を超え、世界人口の約3割になると予想されています。宗教への対応はグローバル企業にとっても重要な要素。ハラルなどの禁忌とされているものが多いイスラム教。予想外の落とし穴がある可能性は否めません。
イスラム教への対応はインドネシアのみならず、世界のイスラム教マーケットへ影響することも考えられるでしょう。
- ハラルマーケットに進出したい
- 自社製品にハラル認証を付与させたい
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など、巨大なイスラムマーケットについて詳しく知りたい方は以下の連絡先までお問い合わせください。
問い合わせ先:hiroki.misono@whitaaplikasi.com
執筆協力:PT.Mitra Afiat Makmur