インドネシアは約300の民族、13,000の島を有する多民族国家。単一民族とされる日本では馴染みがありませんが、一国に複数の民族がいる国家は珍しくありません。そんなインドネシアで使われる言語について、紹介します。
- インドネシアってインドネシア語じゃないの?
- インドネシア語以外にも他の種類の言語はあるの?
- インドネシア語で『こんにちは』はなんという?
と様々な疑問を抱いている方がいると思います。
インドネシアにおける言語の基本的な知識から、覚えておきたい挨拶やインドネシアで使われている様々な言語について紹介しています。興味のある方は是非参考にしてみてください。
記事の目次
公用言語はインドネシア語!
当時オランダの植民地になっていたインドネシア。オランダから独立を求める民主首位運動のインドネシア青年会議の場で
「我々インドネシア青年男女は、インドネシア語という統一言語を使用します」
と青年の誓いが立てられ、広く認知されるようになります。
その後、1945年に行った独立宣言、独立戦争、インドネシア連邦共和国の成立を経て、1950年8月15日にインドネシア共和国が誕生しました。インドネシアが独立宣言を行った際、「インドネシア憲法1945」の第36条に公用言語をインドネシア語に定め、多くの民族が同一の言語を使用することになりました。
その際、インドネシア語の由来となったのがマレー語。そのため、マレーシア語と非常に似ており、マレーシア、ブルネイ、インドネシアの人々は母国語である程度の会話ができます。
インドネシア語は、学校教育はもちろん、テレビや新聞で使われている言語。そのため、インドネシア人は自身の民族の言語とインドネシア語の2つを話す方が多くいます。英語を話すインドネシア人は3つの言語を操るトリリンガルであったりします。一方、家庭内でもインドネシア語でインドネシア語のみの話者もいるので、個人によって事情は様々です。
また、インドネシアでは中国語を話さない中華系の人々が多いように感じます。第3世代になるとインドネシア語と英語しか話せないという方もおり、やはり漢字はしっかり勉強しないと習得が難しいのかもしれません。
言語の種類は700以上!?
インドネシアで使われる言語の数は、データの取得方法によって異なりますが、インドネシアでは最大で731もの言語が使われているといわれています。最小でも500以上という数字があるため、多くの言語が使われていることがわかります。ティモール島やニューギニア島のパプア諸語のカウント方法の差異が結果に幅が生じた原因であると考えられます。
どのようなデータ取得方法であったとしても、500以上の言語は使われているでしょう。多くは少数部族の言語なため、縁のない言葉。1千万人以上の話者がいる言語は2つしかありません。
インドネシアで使われる言語の割合は?
(参考:Badan Pusat Statistik 2010、https://www.bps.go.id/)
インドネシアの中央統計庁の2010年の調査によると、インドネシアで使われている言語の割合は上記のグラフの通り。やはりジャワ語が圧倒的に多く、スンダ語、バタック語と続いています。ジャカルタで生活しているとインドネシア語を多く耳にしますが、地域によってはジャワ語やスンダ語を耳にすることも。
例えばミンナカバウ語。ミンナカバウ語の中でも更に方言があり、ミンナカバウ語を母語とする人達はすぐに違いが分かるほど。関東の人が関西弁とひとくくりにしてしまいがちな大阪、京都、兵庫の方言に存在する違いぐらいでしょうか。また、現在はアルファベットを使用していますが、ミンナカバウ語は元々アラビア文字から派生したジャウィ文字を使用していました。日本でひらがなができる前に漢字を使っていたと考えれば分かりやすいかもしれません。
ちなみにバリ語話者は約400万人で全体の2%未満。日本人が多く訪れるバリですが、インドネシアに占める人口も2%を切るので、バリ語話者も比率で考えると小さくなります。
「こんにちは」などの役立つ挨拶!
外国人に日本語で「こんにちは」と笑顔で言われて嬉しくない日本人はいないでしょう。出張や観光でインドネシア語に来た際、インドネシア語で挨拶をしたら取引先や自社スタッフ、ガイドさんと一気に距離が縮まることは言うまでもありません。ここでは簡単なインドネシア語の挨拶を紹介します。
おはようございます | selamat pagi | スラマッ(ト) パギ |
---|---|---|
こんにちは(11~15時頃) | selamat siang | スラマッ(ト) ソレ> |
こんにちは(15~18時頃) | selamat sore | スラマッ(ト) スィアン |
こんばんは | selamat malam | スラマッ(ト) マラム |
おやすみなさい | selamat tidur | スラマッ(ト) ティドゥール |
お元気ですか? | apa kabar? | アパ カバール? |
元気です | baik | バイク |
ありがとう | terima kasih | テリマカスィッ |
あなたに会えて嬉しいです | senang bertemu anda | スナン ブルトゥム アンダ |
Selamatを言わずに、「pagi」や「siang」だけでも問題なく使えます。多少砕けた表現になりますが、目上の方でも失礼ではないので、どんどん使っていきましょう。
商談の場では、「senang bertemu anda」と言えば相手の心をキャッチできるかもしれません。それぞれのワードは『Senang=嬉しい、bertemu=会えて、anda=あなた』を意味します。英語のNice to meet youなので、覚えておいて損はありません。インドネシア語の挨拶をもっと詳しく知りたい方は是非こちらもご覧ください。
英語も通じる?
多くの人が最低2つの言語を操るインドネシア。例えばスターバックスに行けば、英語はほぼ間違いなく通じます。外国人が行くようなスーパーやレストランでは、英語を話せる人がいます。インドネシアの英語に関する詳しい内容は以下の記事をご覧ください。
インドネシアの言語についてのまとめ
当然のように2つの言語を操るインドネシアの人々。言語が現実を構成するという言語論的転回という考え方(いすのようなものがあった場合、「いす」と「いす以外の言葉」の差異を知らなければ、それがいすと認識できない)があるように、言語を知ることで世界が広がるかもしれません。
母語を使いこなすことで自他民族の理解を深め、共通の言語を使用することで他民族と共通認識を持っているのかもしれません。言語を通してインドネシアについてもっと知ることができれば、より有意義な生活が送れるかもしれません。