ジャカルタでインターナショナルスクール(以下、インター校)について深く知らない方は多いのではないでしょうか。
また、そもそもお子さんをJakarta Intercultural School(JIS)やBritish School Jakarta(BSJ)といった国際的な学校に通学する選択肢を持っていない方もいるはず。色々な国籍の生徒と共に学べる環境は、世界を見渡してもかなり少数派です。
かつては高度経済成長で日本が先進国というイメージが強かったですが、今は少子高齢化や経済成長の低迷もあって、日本=安定というのも今や昔のお話。
そうでなかったとしても、国内のマーケットは確実に縮小していく中で、やはり目指すべき姿は世界で戦える人材!日本の国策としてもグローバル人材に向けてのプログラムも発足するなど、新たな展開を迎えています。
お子さんにとって、ジャカルタでこのような国際的な環境で育つという経験はその後の人生に大きく影響すること間違いなし。
このページでは、ジャカルタのインター校の特徴や日本人の進路について解説します。
- そもそもJIS,BSJ,AISってどんな学校?
- 卒業後の進路は?
- インター校に通うメリットとデメリットは?
とジャカルタのインター校について知りたい方は是非ご覧ください!早速学校の内容を確認していきましょう。
記事の目次
そもそもインターナショナルスクールってどんな学校?
インター校を一文で表すとするなら、「授業を英語で行う国際色豊かな学校」。基本的にはインドネシアに駐在している外国人のお子さんが通う学校です。
最大規模の学校はJakarta Intercultural School(JIS)ですが、British School Jakarta(BSJ)やAustralia Independent School(AIS)など、英語で授業を行い、且つ外国人が在籍しているインター校がジャカルタにいくつかあります。
JISはアメリカ系、BSJはイギリス系、AISはオーストラリア系の学校。
日本人学校が日本の教育システムで教育しているように、インター校もそれぞれの国の教育システムに則った教育が行われています。
その中でも日本人の在校生が一番多いのがJIS。日本人でも、海外勤務歴が長い方のお子さんや、JJS中学部の卒業生がJISの高等部に通う人もいます。
日本人の多くがJJS中学部を卒業してからJISに通うので、JISの高等部事情にフォーカスして紹介します。
なお、お子さんが高等部にもなると保護者の協力は限定的なため、親御さんは英語ができなくても大きな問題はありません。
ジャカルタのインター校の評判は?
JISの評判は総じて良いといえるでしょう。最も気になる勉強面と、お子さんにとって重要視したいスポーツなどの課外授業に分けて紹介します。
勉強面
卒業後の進路
アメリカ人などの生徒は、一部ですが、ケンブリッジやアメリカの有名大学に進学する生徒もいます。
そのため、JISの勉強レベルは総じて高いですが、個人に合わせたクラス分けが可能な教育プログラムが準備されています。
日本人の卒業生の進路も早稲田大学、慶応大学はじめ、難関私立校が多数。帰国枠入試があるため、MARCH未満の大学に進学する卒業生はほとんど耳にしません。
JISを卒業すれば、大学はMARCH以上、早慶を目指せるレベルに達していると思っていただいて結構です。ただし、これは世界中のインター校の生徒にも同様のことがいえるのでご注意を。
教育プログラム
JISでは11年生(高2)になると、インターナショナルバカロレア(以下、IB:International Baccalaureate)という教育プログラムに則った授業を2年間受けます。
IBとは、考える能力が身に付くようにデザインされている国際的な教育プログラム。
- 英語(レベルに応じた複数のクラス有り)
- 数学(レベルに応じた複数のクラス有り)
- 科学(物理・化学・生物など)
- 人文科学(経済・地理・歴史など)
- 芸術(音楽・演劇・ダンスなど)
- 第3言語(日本語、スペイン語、中国語など)
6領域70科目に加え、ボランティア活動や4,000字以上の卒論のようなものもあります。それぞれの科目や卒論に評価点が付き、大学入試の際には内申点として評価基準にもなります。
この勉強プログラムは、英語が中学卒業レベルのお子さんが高得点を取るにはかなり難しく、高得点を目指すなら、夜遅くまで必死に勉強することになります。
また、JISなどのジャカルタのインター校は当然のように宿題が山ほど出ます。
日本の一般入試の受験ももちろん大変ですが、お子さんにとって、毎日大量の勉強(宿題)を課される環境も酷ですが、鍛えられること間違いなし。
英語が苦手でインター校に通っていたある卒業生は、16時に帰宅し18時半まで昼寝。
夕食を食べてから0時過ぎまでほぼ毎日宿題に追われていたとのこと。レポート提出間近になると、寝るのは3時を過ぎることもあったそうです。
また、元々優秀だった別の卒業生は、勉強が済んだら21時には就寝していたそうです。程度の差はありますが、自宅で勉強しない生徒はゼロといっても過言ではありません。
なお、2人の卒業生は帰国枠入試を活用し、難関国立大学に進学しました。
デメリットとしては、お子さんの9割以上の進学先が文系学部になる点です。日本の高校に進学すれば文理の選択肢がありますが、インター校の卒業生はほとんどが文系。
その理由の1つは、理系科目を英語で勉強するため、英語に慣れてくると英語で理解するため。
日本の大学に進学したら日本語の単語を改めて勉強しなければなりません。もう1つはインター校の勉強では、有名私立大学の理系に進学するレベルに達することができない可能性があるため。
早慶に進学する理系生徒は、日本でもトップクラスです。ジャカルタのインター校の教育プログラムでは文系科目も理系科目も同じくらい勉強しなければならず、理系科目の勉強に避ける時間が短くなるため、どうしても日本の高校生と差が出てしまいます。
教員
JISの教員の半分以上は修士課程を取得した先生方。知識は豊富で、質問をすれば答えてくれます。
先生も日本人は英語が第2言語であることは知っているので、頑張っている生徒に対しては親身に対応してくれます。
一方、一部には好き嫌いを態度に出す先生も。基本的には日本人に対しては友好的な先生ばかりです。
課外授業
スポーツ
JISでは、日本のような部活動がなく、様々なスポーツが数か月のシーズン制でチームを編成。
例えば、8月~10月はバレーボール、12月~2月はサッカーなど、自分の得意なスポーツが行え、シーズンの最後には東南アジア諸国のインター校と試合が行われます。
そのため、バスケもサッカーもバレーボールもできるスーパー選手がいることも。
クラブ活動
Japanese Clubといった日本人が多く在籍するクラブや、ジャズバンド、ロッククライミング、模擬国連など、クラブは数も多くて種類も豊富。
日本の大学のサークルのようなイメージです。その他、宿泊学習やIBプログラムの一環でボランティア活動を行うなど、机上の勉強だけでない様々なことを学べる環境が整っています。
ジャカルタのインター校ってどんなイベントがあるの?
ジャカルタのインター校ならではのイベントといったらUnited Nations Dayと銘打った学園祭。
各国の特徴のある出し物があったり、各クラブが催し物をしたりと、日本では絶対に体験できない学園祭です。
日頃の環境もあり、インター校の生徒は総じて外国人に対する偏見や苦手意識はなし。同時に、お子さんは日本人である意識が高まり、ジャカルタで国際感覚がとても磨かれることでしょう。
一方、宿泊学習やプロム、スポーツ大会など、大規模なため全校生徒や同学年の一体感を感じる機会は限定的。その分、それぞれが楽しむことができ、活躍できるイベントが数多くあります。
ジャカルタのインター校の授業料
10~12年(高1~3)まで通う場合、3年間合計で1000万円ほど必要となります。
JISの学費は主に入学金、授業料、施設使用料などで構成されています。入学金、施設利用料は初年度のみの支払いで合計Rp.76,600,000(約60万円)。
授業料は毎年発生し、Rp.386,100,000(約300万円)。そのほか、スクールバスを使う方は年間約50万円掛かります。
その他、音楽の授業での楽器代、スポーツで学校代表に選ばれたら遠征費用など、お金がかかります。
お子さんの教育費に費用対効果は図れませんが、会社負担で通学していようがなかろうが、遊んでいる姿を見ると親としては勉強してほしいと思ってしまうものです。
ジャカルタのインター校についてのまとめ
教育に正解はありませんが、できることなら良い学校に通学させたいもの。多くは親の都合でJISに通うため、中3になり、お子さんに希望進路を聞いてもJISを選ぶお子さんは少ないでしょう。
日本の高校で楽しむのも良いですが、JISのような様々な国の生徒と一緒に勉強できる環境で生活することは決して無駄ではありません。
筆者の独断と偏見はありますが、インター校の卒業生として、インター校をおすすめするのは以下のようなお子さんです。
- 将来が漠然としていて、特にやりたいことがない人
- 日本の高校に進学しても有名大学に進学する自信がない人
- 早慶以上のレベルの大学に絶対入学したいと思っており、高校入試で早慶付属校に合格しなかった人
- 将来的に国際的な仕事をしたいと思っている人
3つ目までのお子さんは、インター校を卒業し、大学の帰国枠入試を活用すれば一発逆転で早慶以上の大学に進学できる可能性があります。
もちろん、早慶レベルに入学するにはインター校でも必死に勉強しなければなりませんが、日本の入試よりはライバルの数は少ないです。
(有名私立大は徐々に帰国子女枠の数を減らしている傾向があるという人もいます。)
一般的に、帰国枠入試科目は文系なら小論文、英語、現代文、面接の何れか。仮に早慶に行けずとも、MARCHには行けるでしょう。
※何ら保証もございませんので、悪しからずご了承下さい。
既に勉強のできるお子さんは、日本の高校でもインター校でも勉強ができます。
日本の高校では勉強が苦手でも卒業はできますが、JISのようなインター校は出席やテストの結果如何では卒業できない可能性が稀にあります。
ですが、勉強をしなければいけない環境になるので、そういった環境に身を置くことも悪くはないのかもしれません。